破戒シスター 批評

2周くらい繰り返してプレイしてみると、
初見の人とそうでない人、
宝を集めながら進む人、急いで進める人、
どんなスタイルにも対応できるように、練りに練られて作っていることがわかります。

紐解いて考えた場合に参考になる箇所をどこまで見つけられるか、
その視点で作品を見ていっても面白いかもしれません。
プラスの面

この作品の良いところ、褒めるべき点ですね。
そちらから解説していきます。


・急いで進めても突破できるし、きついようなら稼げば良いようにできている

おそらく、ほとんどの人は
色々とアイテムを集めながら、また手に入ったレアアイテムなども総動員していると思います。
ですから、初見だと結構楽なゲームです。

ですが、筆者が攻略を書くために2回目、
最初からやり直して、稼ぎをしないで、レアアイテムを手に入る人とそうでない人で左右されるから、
そういった類を一切使わずに、最低限の状態での攻略を心がけて進めていってみたのですが、
このゲーム、まっすぐに進めると、後半きついですよ。

地獄とか、二回目にやったときに、
「こんなに状態異常って通用しなかったかな?」
というくらい通りませんでしたから、
初見で自然と鍛えられる範囲だと、状態異常とかも通りやすいレベルまで上がるようになっているんだな、
と、そのとき気付きました。


おそらくは、わかっている人が一直線に行って厳しくなるくらいのものを、
ある程度探索も混じることによって、
大半の人がすんなり行けるだろうという調整の仕方で、楽にクリアできる方向性にしていると思います。

それと上手いのは、詰まったりしたときの稼ぎの退屈さを解消させるため、
レアアイテムなどの要素をつけていること、
これで稼ぎが苦痛にならないようにしていて、自然と戦力が整いやすくしている。

これが自然と強くなりやすくなることを加速させて、
つまずくことを減らすように配慮になっている。

レベルが無い、もしくは固定のゲームの場合
戦術パズルでバランスを取るという方法がありますが、
「じゃあ、レベルがあるゲームの場合のバランスの取り方ってどうなの?」
という場合、このゲームのように、
まっすぐに進めれば、クリアできるかできないようにする。
でも、勝てない人が稼ぐ必要が生じた場合、その稼ぎを退屈にならないように、
面白みを付け加えておく。

この考え方というのが、レベルで攻略が左右されるタイプのゲームでは、
バランスの取り方として参考になる部分ではないでしょうか。


・どのメンバーでもクリアできるように調整ができている

進行速度だけでなく、キャラクターのバランスもしっかり練られているのが感じられます。

ちゃんと黙示録の6人をつかわなくてもいけるように考えられて作られている上に、
金銭的なバランスを考えても、
黙示録6人はスキル習得でお金が必要ですが、
それ以外はパッシブを習得して特化させることで互角に成るくらいですから
ほぼトントンにできています。

戦力だけでなく、金銭でも、差が極端に出ないように調整しているというのは、
相当に気を使って調整しているな、というのが窺えます。

キャラクターの設定を考えて、そこから性能を組み立てていって、
それでこのバランスで成り立つようにしているのですから、
調整のセンスは優れている人だと思います。


・初到達時には探索する必要があるけど、突破すると再突入は楽

どのダンジョンも、
最初に進んで行くときは探索していかないといけませんが、
突破しきると、すぐにボスの箇所などへ行けるように作られている。


さらに、霊幻バリアーや悪魔祓いなど、
次からは面倒くさくないように気配りが良く出来ています。


慣れていない人だと、ボスの手前にただセーブポイントを置くだけで、
体勢を立て直すために帰還して、再び訪れるのに、
またそこまで行くのに消耗しないといけないのか、
などが置き去りになっていることが結構あります。

全てをこの作り方で作れとは言いませんが、
「こういう作り方があるんだよ。」というのは、
他の製作者は絶対に知っておいたほうがいい
です。


特に見習って欲しいのは、ラストフロア(無間地獄)ですね。

ラストフロアというと、強いのをただ並べて、
しんどいだけのエリアにしてしまいがちなのですが、
この作品のラストフロアは、
最初の段階ではボスへの入り口を探すために、色々と彷徨う。
そのついでにレベルも上がったり、装備揃ったりする。

万が一、すぐにボスのエリアにすぐついても
「あれ、まだ何かあるんじゃないの?」
と探索もできるし、
コンパスのおかげで、座標を覚えておけば、
ボスの箇所には簡単に再び行ける。

詰めるものを詰めておきながら、苦行にならないように調整している。
実に上手い作り方が出来ています。

配置したハードルすべてを突破しないと、目的地に到達できないようにするのではなく、
ハードルは多いけど、すべてを突破する必要は無い。
だけど、いきなり答えにたどり着くわけではない。
でも、答えがわかった後は簡単にゴールにたどり着ける。

こういうやり方は、他の製作者の人にも吸収して欲しいですね。


・後半に行くほど盛り上がるし、ボリュームも増す

これも心がけて欲しい箇所です。
これをやりきる製作者の人が少ない。

どうしても、思いついていったネタを詰め込んでいって、
ネタが足りなくなっていったり、収まりがつかなくなって、ちょんぎって終わらせたりとかで、
後半のほうが尻すぼみになる製作者が多いです。

それに対して、この作品は
後半に行くほど、ダンジョンのボリュームも増すし、話も盛り上がっていく。

「もう、これで終わりかな」と思って、まだ続きがあったりする。

クリア時間だけを見ると10~15時間くらいでしょうから、
そんなに長い作品ではないのに、中身があったように感じるのは、
後半がしっかりしていたから消化試合にならずに
最後までゲームとしてやりごたえがあったんので、そう感じるわけです。

この、後半部分をしっかりボリュームをつけておくという部分、
ここも気付いて欲しい箇所です。








マイナスの面

ここからはマイナス部分の話。
ベテランの方でも、見落としている箇所があるんだな、
という話です。


・メッセージスキップ、誤選択防止の欠如

やっぱりメッセージスキップは欲しいですね。

後は、ボタン連打による誤選択防止のプラグイン。
これは実は、こちらのサイト
http://artificialprovidence.web.fc2.com/

このサイトの
[RGSS3素材]→[システム拡張]→[誤選択防止処理]
というプラグイン。

ミッシングリンクとかに入っていたプラグインですね。
選択肢が出たときに、十字キーを一回入力しないと
カーソルが表示されず、ボタンを連打するだけでは勝手に決定されない。
というものですね。

これほどの作者様でも、このプラグインのことは知らないのか~、
と、少しびっくりしました。

これはこの作品だけでなく、他のVXace作品でも、
ボタン連打で、選択肢を勝手に決めてしまうことにイラっとするように感じたら、
その製作者の人に教えてやったほうがいいと思います。

別に筆者だけでなく、それはコメントできる人が、
誰でも良いから教えられるようになったりすると、
全体のレベルも向上していきますから、
いい機会ですから、ここで述べさせてもらいました。


・パズズ(1回目に関して)

きっちりクリアできるように気遣われているのはわかるのですが、
パズズ戦(1回目 ピジョンに取り付いているほう)に関しては、
RPG慣れしていない人は、少し厳しい気がします。

しかも、これがエロイベントの後にボス戦なので、
やり直すときに、何度もイベントを見させられますし、
イベントスキップやメッセージスキップが無いことも合わさって、
面倒さを膨れ上がらせています。



やっぱりスキップ関係の充実と
イベントとボスの強さのバランス、
そういったところは、一つ間違うだけで印象が一気に変わってしまう、
難関ポイントですね。


・TPの扱いに関して

TP関係の扱いは雑だったかなという印象を受けました。
ボブとエリカはキアイチャージでなんとかなりますが、
他のキャラは・・・栄養ドリンクや酒もそこまで一気に増えるわけじゃないですし。

タンピン飯店のパッシブにもう少しTP関係を加えるか、
アイテムにTP関係のものをもう少し増やすか、
どちらかあっても良かったような気はします。


・破戒シスターの影が薄い

マリエルが回復や補助に専念することになるから、
破戒シスター状態の意味がほとんど感じられないし、
タイトルが破戒シスターなのに、こういった状況なのはどうなのかな、と。

パッケージのイラストとかを見る限り、
銃とかを使って、銀の弾丸とかで戦う火力も出せるキャラなのかな、
と思っていましたが、蓋を開けると、
クリフトにミネア足した程度の性能ですから、
結局は殴りに関しては、クリフトレベルなんですよね。

筆者が最初に抱いていた印象は、
マリエルがドラ○エ3の勇者くらいの性能していて、ボブやエリカが戦士あたりじゃないの?
というイメージだったのに、肩透かしだった感じです。

確かに、パーティーの要ではあるから、
外れることはないでしょうけど、
何か違うようなあ、という印象でした。











総評

この作品を調整で気遣われている部分、
後半が盛り上がって、尚且つどのキャラでもクリアできるように調整していて、
急いで進めても、寄り道してもゲームになるようにも調整し、
絵やテキスト、UIやキーアイテムのグラフィックのフォントなど、
細かいとこまで作りこんでいっている。
その労力と調整のセンスを考えてみてください。

しっかり見ると、とんでもない作品だというのがわかってきます。

ただ、プレイヤーというのは、そういった理論で見るわけでなく、
キャッチーであるかどうか、とかの要素で判断したりしますので、
理論でガチガチに固めて作れば、ベストセラーになるとは限りません。
(それでも、作者がそこに籠めているエッセンス、
それはある程度興味がある人は、読み解いていって理解して欲しい箇所ではあります。)


内面的なバランスの取り方、その面においては非常に優れている人なのですが、
タイトルから印象に抱くような、キャッチーな部分、
「このキャラってこんな感じでしょ」と感じる大衆的なノリというか、
面白みのツボを素直に押さえることには失敗している部分が少しある。

それと、誤選択防止のプラグインなどの情報面、
そこで取り残されている面はあるのかな、という印象を受けます。

どうしても、中身にこだわって作っていくので、
他のところが時代に後れていってしまう、取り残されてしまうという面があります。

そういった部分は本人がサーチするだけでは限界がありますから、
誤選択防止のプラグインもそうですが、他の人が
「こういったのがあるよ。」と教えてあげたりなど、
そういった部分からの援護なども重要
になって来るでしょうね。
(そこも踏まえて、一般の人が少しでも詳しくなるように、
こういった記事を書いているわけですが)


デザインセンスは十分に優れている方ですが、
得意部分以外に視野を広げれば、まだまだ磨けるところはあるし、
発展の可能性もあると思います。

得意な部分だけに執着するのではなく、他の要素も充填して
次の作品に取り掛かって欲しいですね。


筆者自身の個人的な感想を言いますと、
この作品に出会えて良かったと、心のそこから思っています。

ここまで調整にこだわる人が同人でもいるんだな、
ということ、それが嬉しかったですね。

マニアックで、ガチガチの厳しいゲームを作って、
それで高尚ぶっている作者、そのガチガチさを塗り固めるために
執念を燃やして作りこむ作者は何人か見たことありますが、
きっちり優しく作ること、そこに関して、ここまでこだわって調整する人、
そういう人がいたのには驚きました。


それで思うのは、もう少し中身を説明する人が出てきて欲しいかな、
という点ですね。

筆者も作る側ではないですから、
作る人間から嫌われている部分はあります。
「どうせ、お前は作る側ではなく、プレイしているだけの側だろ」
という認識が最後には待っていますからね。

ですが、だからこそ、そういうことを持ち出すようなら、
今回言ったようなこと、
それは筆者が言わなくても、他の作者の人が紹介してあげるような状況
「この作品は、こういったところが優れているんだよ。」
という発言が飛び交うような状況、
そういった状態になっていて欲しいというのはあります。

デザインするのは作者ですし、知っておかなければいけない比重が大きいのも
作者のほうなんですよね。
もうちょっと同業者から評価する声とかが飛んでも良かったのではないか、
というのは感じます。


そして、大衆の人も知っている必要は無いですが、
できればわかって判断できるようになれば、
安直なものだけではなく、色々なタイプの面白みを自分で考えていける
審美眼や舌のバリエーションが広がっていくことにもなりますから、
全体のレベルも上がっていくわけです。

そういう意味で言えば、この作品は、
全体のレベルが上がった後に見つめ直されると、
また違った受け止め方がされる作品かもしれません。


そこから言うと、単純な売り上げだけ考えるのではなく、
デザインのセンスが詰まっているという教材的な意味、
それがその時点で存在していたという歴史的な意味を持っている作品
ではないか、
と、筆者は評価しています。

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